昭島に仕事に行っていたころ、立川駅で乗り換えて、寒い夕時の通勤快速に乗り込む時、駆け込み乗車するオイラをドアを押さえて待ってくれた駅員さん。オイラが乗り込むと同時に、首から提げた笛をドアに挟み込んでしまった。

笛は、車内にコロコロ転がってオイラの足元へ、発車時間もぎりぎりだったのか、窓越しに覗きこんで確認するとオイラにはにかんで敬礼した。


ドアを開ける事もなく、電車は発車する。一寸躊躇したが仕方無いと思い。笛を拾うと乗り換えの吉祥寺駅で、ホームの駅員の詰め所に届けて、お礼を言った。


その数日後、朝のホームでその駅員を観た。彼はオイラの顔を覚えていたらしく、走り出した電車でオイラに軽く会釈して、敬礼していた。オイラも直にわかった。


なんだか、嬉しいやらなにやら…。「この前はすいません…」と一言言いたかったが、駆け込み乗車するのはオイラだけじゃないけど、彼を何度か見かけたが言う機会はなかった。


彼はその笛が届いた時点で、上司から小言貰ったかもしれない。でも、彼もいい事をしたと思ってるし、オイラも何かホッとして救われたような気がした。


あの日、そんなに急ぐ必要はなかった。皆さん、駆け込み乗車は止めようね。


□【働きビト】電車内で遭遇した“イイ話”から学ぶ人生論

ここから本文です